東京都新宿区高田馬場の司法書士 森住都です。

 

前回、親から相続した家がそのままになっている空き家問題を紹介しました。

 

今回は、親の家が相続できない空き家問題について書きます。

 

具体例.

A子さん(65)歳の悩み。

老朽化した家屋に一人暮らしをしていた母が昨年亡くなりました。

母が亡くなった後は誰も住んでいません。

倒壊の危険もあるので何とかしたいのですが、所有者は母の名義のままです。あいにく遺言書もありません。

家屋の処分も考えていますが、前提として亡くなった母の相続人全員で、遺産分割協議を行わないといけないようです。今回相続人にあたるのは、母の子ども、つまり私(A子)の兄弟です。全員で4人います。

しかし、兄1人と全く連絡をとりあっておらず、どこに住んでいるかも分かりません。遺産分割が進みません。どうしたらいいのでしょうか。

 

 

様々な事情で、遺産分割協議が進んでいないことは十分考えられます。

しかし、所有者の名義が被相続人(今回はお母さん)のままであれば、相続人の自分は所有者じゃないからと言ってその建物を放置して良い訳ではなく、管理をしなければなりません(民法918条)

 

 

今回の空き家問題について解決方法の一例をご紹介します。

 

まず、連絡の取れない相続人(仮にB男さん)を探して、遺産分割協議を行い、お母さんの住んでいた家屋をどなたが相続するか話し合う必要があります。

 

親戚中に尋ねて、B男さんの連絡先が分かればそれが一番早くて簡単な方法です。

 

もし、親戚中に尋ねても、連絡先が分からなければ、B男さんの本籍のある、市区町村で戸籍の附票を取り寄せます。

戸籍の附票には、B男さんの現在の住所地が記載されているので、そちらへ連絡を取ってみます。

 

まず、連絡の取り方として手紙などを送ってみましょう。

もし、宛先不明で手紙が戻ってきてしまったら、実際に住所地のある家に行ってみます。

① 表札が誰の名前になっているか

② ポストに沢山チラシなどが入っているか。

③ 見たところ、誰も住んでいなさそうか。

④ ガスメータが回っていて、生活しているのが確認できたか。

⑤ 近所の方に、B男さんは住んでいるのか、もし住んでいなければいつから住んでいないのかなど聞いてみるのもいいでしょう。

教えてもらえる可能性は低いと思いますが、転居先なども聞いてみましょう。

 

これらB男さんの住所地に行かれて調べたことを忘れないようにメモすることをお勧めします。

 

実際にB男さんの住所地に行かれても、B男さんが住んでいる気配がないなど、現在実際に住んでいる住所の手掛かりがつかめないなら、

① B男さんの不在者財産管理人が就くように家庭裁判所に申立を行い、

② その不在者財産管理人がB男さんの代わりになって、他の相続人全員で遺産分割協議を行います。

不在者財産管理人は身内の方や、親戚の方が候補者として名乗り出ても構いません。

ただ、B男さんの不在者財産管理人は、遺産分割協議が終了しても、不在者財産管理人としての仕事は終わらない点をご注意下さい。

 

ただ、これだけの煩雑な手続きを経てまで、老朽化した家屋を処分しようと考えるかは、不動産の資産価値など具体的な状況によりけりだと思います。悩ましい問題ですね。